電気代の請求書を見るたびに「また高くなった…」と感じている方は多いのではないでしょうか。でも、電気代がなぜ上がっているのかを正確に説明できる人は、なかなかいません。この記事では、電気代の仕組みと値上がりの理由を、できるだけわかりやすくお伝えします。
毎月届く電気代の請求書を「合計金額だけ」確認している方がほとんどだと思います。でも中身を見ると、電気代は次の4つの項目で構成されています。
なお、電気料金には大きく分けて2種類あります。大手電力会社の従来プランである「規制料金」と、電力自由化以降に生まれた新電力や自由プランである「自由料金」です。この記事では主に規制料金の仕組みをもとにご説明しています。
規制料金の場合、料金の改定には経済産業省の認可が必要です。燃料費調整額だけでなく、基本料金や従量料金の単価そのものが値上げされるケースもあります。実際に2023〜2024年にかけて、大手電力各社が規制料金の値上げを申請・認可されています。
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項目 |
内容 |
変動するか |
|---|---|---|
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①基本料金 |
電気を使う・使わないにかかわらず毎月固定でかかる料金。契約しているアンペア数(30A・50Aなど)によって金額が異なる。 |
固定 |
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② 電力量(従量料金) |
実際に使った電気の量に応じてかかる料金。使えば使うほど、3段階で1kWhあたりの単価が上がる。 |
使用量に応じて変動 |
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③ 燃料費調整額 |
火力発電に使う原油・LNG・石炭の輸入価格に連動して毎月自動調整される。 |
毎月変動 |
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④ 再エネ賦課金 |
太陽光・風力などの再生可能エネルギーを国が買い取るための費用を、電気を使う人全員で分担する仕組み。2012年から導入。 |
年1回見直し |
電気代の値上がりに関わる要因のひとつが、③の燃料費調整額です。国際的な燃料価格と為替レートに連動するため、中東情勢や円安が電気代に反映されます。
なお、②の電気料金(従量料金)の単価や①の基本料金も、経済産業省の認可を経て引き上げられるケースがあります。
電気料金(従量料金)には、多くの人が知らない特徴があります。一般的に「まとめ買いすると安くなる」というイメージがありますが、電気は逆です。使えば使うほど、1kWhあたりの単価が上がっていく仕組みになっています。
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使用量の区分 |
1kWhあたりの単価(目安) |
対象となる家庭の例 |
|---|---|---|
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最初の120kWhまで |
約30円 |
一人暮らし・節電を意識している家庭 |
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120kWh〜300kWhの部分 |
約36円 |
2〜3人家族の標準的な家庭 |
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300kWhを超えた部分 |
約41円 |
4人以上の家族・オール電化の家庭 |
※参考・出典:東京電力エナジーパートナー|料金単価より
エアコンをよく使う夏・冬は、使用量が300kWhを超えやすく、その超えた分には一番高い単価が適用されます。これが「電気代が想像以上に膨らむ月」が生まれる原因のひとつです。
上記の表の単価はあくまで目安です。この単価自体は、経済産業省の認可を経て引き上げられるケースがあります。
電力会社が独自の判断で値上げすることはできませんが、燃料価格の高騰や円安が続く局面では、電力会社が規制料金の改定を申請し、認可されると単価そのものが上がります。
実際に2023〜2024年にかけて、大手電力各社が規制料金の値上げ申請を行い、認可されています。つまり、電気代の値上がりは燃料費調整額の変動だけでなく、この単価の改定によっても起こり得ます。
電気代の中で最もわかりにくいのが、③の燃料費調整額です。資源エネルギー庁によると、この制度は「毎月、燃料価格が上がると電気料金が上がり、燃料価格が下がると電気料金が下がる仕組み」として設計されています。ただし、燃料の値動きがすぐに反映されるわけではなく、数ヶ月のタイムラグがあります。
なお、この仕組みは主に規制料金プランを例に説明しています。自由料金プランでは燃料費調整額に上限が設定されていないケースが多いため、燃料価格が急騰した際に電気代が大きく上がる可能性があります。
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ステップ |
内容 |
|---|---|
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① 基準燃料価格を設定 |
料金改定申請時点の直近3ヶ月の原油・LNG・石炭の輸入価格の加重平均値。各電力会社の燃料構成比を加味して計算する。 |
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② 実績燃料価格を算定 |
毎月の燃料輸入価格のうち、3〜5ヶ月前の3ヶ月平均を使用。これが「数ヶ月遅れで反映される」理由。 |
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③ 差分を電気代に反映 |
①と②の差額を1kWhあたりの調整単価に換算し、電気料金に上乗せ(または引き下げ)する。燃料価格の上昇分に反映できる上限あり(基準値の1.5倍)。 |
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たとえば1月に中東で紛争が起きて原油が急騰した場合、その影響が燃料費調整額として電気代に現れるのは5月前後になります。「なぜ今月急に高いのか」と感じた時は、数ヶ月前の燃料価格を振り返ってみると理由がわかります。 |
日本の電気の発電源をみると、火力発電が全体の約70%を占めています。この燃料は、日本ではほとんど産出されないため、ほぼ全量を海外から輸入しています。
出典:令和7年4⽉ 資源エネルギー庁 令和5年度(2023年度)における エネルギー需給実績(確報)|電源構成ページより
国際的な燃料取引は、相手国がどこであっても「米ドル」で決済するのが慣例です。そのため、円安が進むと燃料の輸入コストが直接上がります。
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原油1バレルの価格 |
為替レート |
円換算コスト |
|---|---|---|
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100ドル |
1ドル=100円 |
10,000円 |
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100ドル |
1ドル=150円 |
15,000円(1.5倍) |
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130ドル |
1ドル=100円 |
13,000円 |
燃料費の高騰と円安が同時に進んだ場合、そのダメージは重なって積み上がります。つまり、原油価格が変わらなくても、円安だけで電気代の原価は大きく上がります。
2011年の東日本大震災を受けて原発が止まり、電力不足が懸念される中、国は2011年に『再エネ特措法(再生可能エネルギーの固定価格買取制度に関する特別措置法)』を制定し、2012年に「FIT(固定価格買取制度)」を導入しました。再生可能エネルギーで発電した電気を、国が市場価格より高い固定価格で一定期間買い取ることを保証する制度です。この「市場価格との差額」を国民全員で分担する仕組みが再エネ賦課金です。
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年度 |
再エネ賦課金の単価(1kWhあたり) |
|---|---|
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2012年(制度開始) |
0.22円 |
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2015年 |
1.58円 |
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2019年 |
2.95円 |
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2022年 |
3.45円 |
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2024年 |
3.49円 |
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2025年 |
3.98円 |
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2026年 |
4.18円 |
電気代が「大きく下がる」か否かは、現時点では不透明な状況が続いています。電気代に影響する要因のほとんどが「日本の外」にあるからです。
これらはいずれも個人や一企業がコントロールできるものではありません。
「どこかで紛争が起きた」「為替が動いた」というだけで、数ヶ月後には電気代として家計に影響が出てくる、これが今の日本の電力の現実です。
また、燃料費の値上がりは電気代だけの問題ではありません。
燃料費が上がると、物流費や製造コスト、プラスチックなどの原材料費が上昇し、結果として生活全体のコストが押し上げられます。
みんなのおうちに太陽光事務局として、私たちがまず大切にしていることがあります。それは、「電気代のことを、自分ごととして考えてほしい」ということです。
電気代が上がっている理由は、ここまでご説明してきた通り、燃料費の価格や為替など、私たちの力だけではどうにもならない要因が多くあります。
だからこそ、「なんとなく高くなった気がする」で終わらせるのではなく、仕組みを知った上で、自分にできることを選んでほしいと考えています。
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電気代は、知れば知るほど「対策できる部分」が見えてきます。完璧な解決策はなくても、少しずつリスクを減らすことはできます。 |
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対策 |
効果の目安 |
備考 |
|---|---|---|
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エアコンの設定温度を調整 |
月数百〜数千円の節約 |
設定1℃変化で消費電力が約10%変わる |
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照明をLEDに切り替える |
同等の明るさで約80%削減 |
初期費用はかかるが長期的にお得 |
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待機電力を減らす |
年間数百〜数千円 |
テレビ・電子レンジが主な発生源 |
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洗濯・食洗機の使用時間を工夫する |
プランによって変わる |
夜間が安い料金プランも存在 |
これらの工夫は今日から始められますが、外部要因による値上がりを根本から防ぐことはできません。
もうひとつのアプローチが、電力の一部を自分でまかなうことです。太陽光パネルで発電した電気は、燃料費や為替の影響をほとんど受けません。
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電力会社から購入する電気 |
太陽光パネルで発電した電気 |
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|---|---|---|
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燃料費高騰の影響 |
受ける |
受けない |
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再エネ賦課金 |
かかる |
かからない |
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海外情勢の影響 |
受ける |
受けない |
電力消費のうち太陽光で7割をまかなえるとすれば、外部要因から「守られる」部分が7割になる。全部ではなくとも、リスクを分散させるという発想です。
この記事では、電気代の仕組みと値上がりの理由をお伝えしてきました。最後に、要点を整理します。
基本料金・電気料金(従量料金)・燃料費調整額・再エネ賦課金の4つ。このうち「燃料費調整額」が値上がりの主要因です。
いずれも海外情勢や為替など、個人ではコントロールできない要因です。燃料価格の変動は数ヶ月遅れで電気代に反映されます(出典:資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」)。
電気代だけでなく、燃料高騰は生活全体のコストに連動します。「なんとなく高い」で終わらせず、自分ごととして考えることが第一歩です。
今日からできる節電の工夫に加え、太陽光発電で電力の一部を自分でまかなうことが、外部要因の影響を減らす選択肢のひとつです。使用電力の一部を自家発電でまかなえれば、その分だけ燃料高騰や円安の影響を受けにくくなります。
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出典・参考
資源エネルギー庁「電気料金の仕組みについて」https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/
東京電力エナジーパートナー「料金単価表‐電灯(従量電灯B)」https://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/chargelist01.html
資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/fuel_cost_adjustment_001/
資源エネルギー庁「令和5年度(2023年度)におけるエネルギー需給実績(確報)」https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/results.html
資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kaisetu.html
資源エネルギー庁「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価の推移」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html