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【連載全3回】第2回 | 節約も、乗り換えも ─なぜ電気代は下がらないのか。節約と乗り換えの限界、そして、その先にあるもの
太陽光パネル
家庭用蓄電池
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【連載全3回】第2回 | 節約も、乗り換えも ─なぜ電気代は下がらないのか。節約と乗り換えの限界、そして、その先にあるもの

「いくら節電しても電気代が下がらない」とお悩みの方へ。エネルギー業界の専門家6人が徹底討論した連載第2回。節約や電力会社乗り換えの限界の理由と、その先にある根本的解決策「自家消費」についてお話します。...

みんなのおうちに太陽光事務局
7月 31, 2026
エネルギー業界の専門家による、電気弾に関する座談会の様子
目次

第1回では、電気代の高騰が一過性のものではなく、市場の不安、制度の積み重ね、国のエネルギー政策が絡み合って起きている構造的な現象であることを見てきました。

「では、どう備えるか。」

多くの人がまず手をつけるのは、こまめな節約と、電力会社の乗り換えです。ところがこの二つこそ、座談会に集まった専門家たちが「もう手応えが薄い」と口を揃えた方法でした。

今回は、その理由を参加者の対話からたどります。

 

● 座談会参加者

森 氏|株式会社UPDATER(みんな電力)電源調達担当

鈴木 氏|ハンファジャパン株式会社 ES事業部 マーケティング責任者

中西 氏|一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA)

林 氏|さいたま市役所 ゼロカーボン推進戦略課ゼロカーボン戦略係長

髙島 氏|株式会社EX-World 代表

西原|アイチューザー株式会社 (みんなのおうちに太陽光事務局) シニアプロジェクトマネージャー/新規事業開発

 

はじめに 「安くしたい」のに、なぜか下がらない

エアコンの温度を上げ、照明をこまめに消し、比較サイトで安いプランへ切り替える。それでも検針票の数字は下がらない。

努力が報われないのは、やり方のせいではありません。電気代を押し上げているのは、各家庭の使い方ではなく、その外側にある仕組みだからです。

 

第1章 節約しても追いつかない ── 使用量と単価、二つの上昇

林氏が、電気料金に関する住民からの声を語り、参加者が耳を傾ける様子。

 

請求額は「使用量 × 単価」で決まります。節約は、このうち使用量を削る努力です。まずは現場の感覚から。

── 最近、電気代について、現場にはどのような声が届いていますか。

林氏(さいたま市)
 
「「電気料金が高くなった」っていうイメージだけで、苦情をいただくこともあります。でも調べてみると、単価だけじゃなくて、使う量そのものが増えている、というケースが少なくなくて。」

 

── 単価が上がっても、節約でカバーすればいい、とも思えますが。

鈴木氏(ハンファジャパン)
「以前は、節約で何とかなる面もあったんです。でも今はもう電気代そのものが上がっているので、家計の工夫だけではどうにもならなくなってきていて。」

 

── その「電気代そのもの」、つまり単価は、どう見ればいいんでしょう。

中西氏(JPEA)
 
「電気代って、「ひと月で1万円を超えたか」っていう総額だけで見られがちなんです。でも、本当は1kWhが何円なのか。そして、その単価の中身を見てみれば、私たち消費者では動かせないものがたくさん入っていることが分かるんです。だからこそ、節約だけでは限界があると、知っておいてほしいんですよ。」

 

使う量は猛暑で押し上げられ、単価はその中身で押し上げられる。そして、単価の中身は私たち家庭の側ではほとんど動かせません。動かせるのは「使用量」だけ。両方が上がる以上、使用量だけを削る節約では追いつきません。

 

家計の工夫だけでは、もう何ともならない

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鈴木氏

ハンファジャパン

 

電気代の仕組みや冷房需要、節約の限界について書かれた、事務局からのまとめの箇条書きテキスト。

 

 

第2章 「今より安い」では足りない ── 乗り換えで見落とされやすいこと

電力会社の比較サイト・プランに関するテーマで、真剣な表情で語り合う髙島氏、鈴木氏、森氏。

節約に限界があるなら、次の一手は乗り換えです。けれど専門家は、その判断に使う「ものさし」に疑問を投げかけました。

 

── 比較サイトで安いプランに乗り換える。これは有効な手段ですよね。

髙島氏(EX-World)
 
「比較サイトを使うこと自体は、選択肢を広げる意味で有効だと思います。ただ、電力会社も広告にけっこうお金をかけていて、露出が多くて名前が知られていれば切り替えてもらえる、という構造もあるんです。「とりあえず前より安ければいい」みたいな曖昧な基準で選んでしまうのは、ちょっと本質的じゃないなと思っております。」

 

── では、「安ければいい」では何を見落としやすいのでしょう。

髙島氏(EX-World)
 
「比較サイトには、見かけ上の「年間でいくら安くなる」という数字が並ぶこともあります。でも、その内訳をよく見ると、キャッシュバック分が大きく乗っていたり、一律のシミュレーションで一軒一軒の使い方は反映されていなかったりするんですね。一覧の上位=最安、とは限らない。鵜呑みにせず、そこまでちゃんと見るのが大事だと思います。」

 

── それ以外に、見落とされやすい論点はありますか。

髙島氏(EX-World)
 
「もう一つ大事なのが、燃料費調整額の算定方法です。これがプランによって違うので、相場が落ち着いている時は安くても、世界情勢などで燃料が高騰した瞬間にバーンと跳ね上がるプランもあるんです。一年を通したシミュレーションだけでは見えにくい部分ですね。」

 

── そもそも、料金は、どう決まっているんですか。

森氏(UPDATER)
 
「電力市場のJEPXって、需要と供給で価格が決まるんです。だから需要不安や供給不安があると、相場が大きく振れる。「本当は足りているのに、不安だから買う」「足りているのに、不安だから売る」── そういう心理で、ここ数年はとくに乱高下しやすくなっている印象があります。」

 

市場連動型プランは、この卸価格に料金が連動するタイプです。安い時期の数字だけで乗り換えると、相場が荒れた月に跳ね上がる可能性もあります。つまり、乗り換え自体が悪いわけではありません。ただ「ものさし」を間違えて、目先の安さだけで判断してしまうと、結果的に得をしないこともある。比較サイトの数字だけでなく、内訳まで含めて見る目を持つことが大切です。

 

前より安ければいい」だけで選ばれているのは、本質的じゃない

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髙島氏

EX-World

 

電力会社比較サイトの注意点や乗り換えのリスクについて書かれた、事務局からのまとめの箇条書きテキスト。

 

 

第3章 対症療法から、根本治療へ ── 「自家消費」という選択

西原氏の問いかけに対し、真剣な視線を向ける5名の参加者。

節約も乗り換えも、いわば対症療法にとどまります。では、その先の一手は何か。

 

── そもそも、なぜ「対症療法」を続けることになってしまうのでしょう。
髙島氏(EX-World)
 「日本のエネルギーのシステム全体が、今みたいな事態に対応できる構造になっていないんです。ここを変えない限り、抜本的な解決にはならなくて。どうしても「対症療法」を続けるしかない、と。」

── では、対症療法ではない一手があるとすれば、何でしょう。
森氏(UPDATER)
「真っ先に言えるのは、やっぱり自家消費ですよね。戸建てなら、太陽光パネルをつけてください、蓄電池を入れてください、というのが、いちばん確実な手なんです。」

── メーカーの立場からは、どう見えますか。

鈴木氏(ハンファジャパン) 
「買う電気が高くなっているなら、「じゃあ、その電気をご自身で作りませんか」という逆のご提案が、今はしやすくなっていると感じます。」


── ただ、コスト面で迷う人も多そうです。
中西氏(JPEA) 
「電気代って、高い単価だと1kWhで40円を超えることもあるんです。でも太陽光で作れば14円台。なんでそんなに高い電気を、わざわざ買ってるんですか、って言いたくなりますよ。」

── とはいえ、初期費用で動けない人もいます。

林氏(さいたま市) 
「「やりたい」と思っても動けない、いちばんの理由は金銭面なんです。だからこそ、民間だけでは支えきれない部分を後押しするのが、行政の役割だと思っています。」

 

立場の違う5人が、それぞれの現場から、同じ方向を指していました。買う電気を、減らすこと。これは特定の商品の売り込みではなく、共通してたどり着いた結論です。

 

なんで、そんなに高い電気を、わざわざ買ってるんですか

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中西氏

JPEA

 

電気代対策における「対症療法」と太陽光による「根本治療」の違いを比較した解説図。

 

 

節約や乗り換えの限界、太陽光や蓄電池による自家消費のメリットについて書かれた、事務局からのまとめの箇条書きテキスト。

 

 

おわりに まず、毎月の電気代の明細を開くことから

「節約」は気候と単価の上昇に追いつかず、「乗り換え」はものさしを誤れば、わずかな安さを追いかけ続けることになる。専門家たちは、その先にある「買う電気を減らす」へと視線を向けていました。

とはいえ、いきなり大きな決断は要りません。最初の一歩は、誰にでもできます。

今月の電気代の明細(紙の検針票や、電力会社のマイページ)を、もう一度開いてみてください。「使用量」は去年の同じ月より増えていないか。「単価」はどう動いているか。「再エネ賦課金」はいくら乗っているか。ー自分の電気代が何でできているのかを知ること。

それが、対症療法から根本治療へ踏み出す、いちばん確かな出発点になります。

 

次回・第3回は、いよいよ具体的な行動編です。明細の読み解き方から、自家消費へ向けた現実的な進め方まで、専門家たちの知見をもとに掘り下げていきます。

 

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